撮影事例|警視庁 交通安全啓発ポスター ― 現場を仕切る、という技術
7〜8年続く、警視庁ポスター撮影の仕事
この案件は広告代理店さんを経由してご依頼いただいている、警視庁の交通安全啓発ポスターの撮影です。2018年頃から携わっており、もう7〜8年になります。広告代理店経由の長期案件で、デザイン会社さんとのお付き合いも長く、信頼関係の中でお仕事を続けさせていただいています。

「TOKYO SAFETY ACTION」と年間の撮影スケジュール
この啓発活動は「TOKYO SAFETY ACTION」というコンセプトのもとで展開されており、専用のウェブサイトも制作されています。サイトのメインビジュアルは毎月テーマごとに写真が変わるため、12ヶ月分のポーズを撮影する必要があります。さらに、春と秋の交通安全ポスター、二輪車や自転車の安全啓発ポスターなど、付随するビジュアルもいくつか制作します。毎年6月には交通安全大使の委嘱式があり、その撮影も担当しています。撮影は前半・後半に分けて行い、動画チームと一緒に現場を動いています。
ポスター撮影の特徴 ― カンプに沿いつつ、現場で詰めていく
撮影前にはデザイン会社さんからカンプやラフが上がってきて、必要なカットの方向性が共有されます。ただ、実際の撮影では現場での細かい判断が欠かせません。例えば、複数のタレントさんが1枚のポスターに登場する場合、実際には一人ずつ別々に撮影して後から合成します。そのためライティングを全員統一すること、並べた時にポーズが重ならないよう配置を意識しながら撮ることが重要です。
自転車に乗っているシーンや横断歩道を歩いているシーンなど、動きのあるカットをスタジオ内で自然に見せるには、足の角度や体重のかけ方まで細かく指示してポーズを作り込んでいきます。バイクと一緒に撮る場合はヘルメットへの映り込みにも注意が必要ですし、敬礼の角度など、細部への配慮も求められます。

タレント撮影の難しさ ― 呼吸、時間、そしてギャラリー
タレントさんの撮影には、素人の方の撮影とはまた違った難しさがあります。タレントさんはテレビには慣れていても、モデルさんとは違い、スチール撮影のセットの中でポーズや表情を作ることに緊張されるケースがあります。
また、自分のリズムで動くタレントさんもいて、フォトグラファーのシャッターとの呼吸が合わないこともあります。何十枚も撮影した中から最終的に選ばれるのは1枚ですから、限られた時間の中で多くのパターンを撮り切る必要があり、タイムスケジュールのシビアさは常に意識しています。
そしてもうひとつ、この現場ならではの特徴が、ギャラリーの多さです。警視庁の関係者、タレントさんのスタッフ、スタイリスト、ヘアメイク、制作スタッフなど、20人ほどがカメラマンの後ろで撮影を見ています。その中でフォトグラファーが現場を仕切り、安心感を与えながら撮影を進めていく。アシスタント時代にはこれほど多くの人がいたらシャッターを切れないかもしれないと思ったこともありましたが、今ではその現場を上手に進めていくこと自体が楽しいと感じています。撮影チームは基本的にアシスタントを含めた2名体制で、機材は持ち込みで臨んでいます。
春の交通安全週間のポスターも撮影済み
4月に公開される春の交通安全ポスターの撮影はすでに完了しています。長くこの案件を続けてこられたのは代理店やデザイン会社との信頼関係があってこそです。どんな現場でも安心して任せていただけるよう、これからも一つひとつの撮影に丁寧に向き合っていきたいと思います。