“次に使える”ことを前提にした記録撮影
今回の撮影事例は、ビッグサイトで開催された展示会「ワイヤレスジャパン」の記録撮影です。ご依頼は展示会の主催者からで、以前ご紹介いただいて以降、継続して撮影を任せてもらっています。年に一度開催される展示会ということもあり、その年の様子を残すだけでなく、「次回開催にどうつながるか」を強く意識しながら撮影に入っています。

「とりあえず全部撮る」との決定的な違い
記録撮影というと、「会場を一通り回って、雰囲気を撮っておけばいい」と思われがちです。他社の記録撮影でも、実際にそうした進め方をしているケースは少なくありません。ただ、主催者側が本当に困るのは“あとから写真を見返したとき”なんですよね。「この写真、何の場面だっけ」「どこで使えばいいんだろう」となってしまう。
私の場合は、撮影の時点で「この写真は報告用」「これは次回の集客用」「これは出展者向けに使える」と、用途を頭の中で整理しながら撮っています。単に枚数を揃えるのではなく、使い道が想像できる状態で残すこと。ここが、よくある記録撮影との一番大きな違いだと思っています。

展示会全体を“説明できる”記録を残す
ワイヤレスジャパンのような展示会では、会場全体の雰囲気だけでなく、「どこで」「どんな構成で」開催されていたのかが分かることが重要です。案内看板、導線、ブースの並び、オープン後に人が入っている様子、接客の雰囲気。これらを意識して押さえておくことで、あとから見返したときにイベントの全体像を説明できる写真になります。
雰囲気の良いカットだけを拾うのではなく、「説明に耐える写真」を残す。この考え方も、単なる記録撮影とは違う部分だと感じています。

セミナー撮影で差が出る“準備の視点”
展示会ではセミナーや講演も重要な要素になります。多くの場合、他社の記録撮影では講演者の写真だけが残り、「どの時間帯の、どのセミナーか」が分かりづらくなりがちです。
私は必ず、セミナーを撮影する前にタイムテーブルも記録します。そうすることで、写真単体ではなく「文脈ごと」残せる。主催者が後から整理する時や、次回の企画資料を作る時に、この差がはっきり出てきます。

複数カメラマンでも“抜け”を出さない進め方
会期中は複数のカメラマンで入ることもあります。その場合、ただ分担するだけではなく、「誰が何を押さえたか」を確認しながら進めます。ブース撮影では特に、撮れた・撮れていないをチェックし、人のいないブースはオープン前に撮影して補完する。
主催者からのオーダーは「全部撮ってください」という大枠になりがちですが、そのまま受け取ってしまうと必ず漏れが出ます。用途を理解した上で先回りし、全体を管理する。ここも、単なるカメラマン業務ではなく、記録撮影として評価されている理由だと思っています。

スポーツイベントで培った“営業資料視点”
この考え方は、スポーツイベントの記録撮影でも同じです。大会報告書用の撮影では、競技風景だけでなく、協賛企業のバナーやロゴ、会場内外の掲出物を漏れなく押さえる必要があります。それは、次回大会の営業資料や企画提案に写真が使われるからです。
展示会もスポーツイベントも、「終わった後にどう使われるか」を前提に撮る。この視点を持っているかどうかが、記録撮影の質を大きく分けると感じています。

実際に“次につながっている”記録撮影
今回撮影したワイヤレスジャパンの写真は、次回開催となる2026年のワイヤレスジャパン公式サイトでも実際に使用されています。開催実績を示すための素材としてだけでなく、「次も開催される展示会」としての期待感を伝える役割も担っています。
記録として残すだけで終わらず、次の集客や告知に自然と使われていく。そこまで含めて成立するのが、私が考える記録撮影です。
