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依頼を受けて写真を撮るということを考える
撮影テクニックだけのフォトグラファーに本当にいい写真は撮影できません。
クライアントに寄り添う気持ちや、いい写真を残したいという強い気持もが、撮影を行う際の推進力になります。
クライアントの魅力を捉えるフォトグラファーの心構えとは
撮影の主役は、紛れもなく依頼主であるクライアントの価値そのものです。依頼を受けたフォトグラファーは、クライアントの持つ魅力や価値を最大限に引き出し、誰よりも近くでその瞬間を捉え、視覚的に表現する必要があります。この点をまず忘れてはいけません。撮影は自分の作品撮りではありません。極端な話、自分が良く撮れたと思っても、クライアントがそう思わなければ意味がないのです。独り善がりになってはいけません。
「このフォトグラファーに頼んで良かった」とクライアントに思ってもらえるような写真を提供することが、フォトグラファーに課された最大のミッションなのです。直接、そんな感謝の言葉をもらえることが、この仕事の醍醐味とも言えるでしょう。
フォトグラファーは、クライアントがどんなイメージやメッセージを伝えたいのかを常に考えながら、撮影に臨まなくてはいけません。これはどの分野・業界の撮影でも同様です。クライアントの要望に応える写真をきちんと撮影することが、フォトグラファーには求められます。
とは言え、こうした満足をクライアントに得てもらうには、どんな努力をするべきなのでしょうか。
もちろん撮影テクニックは重要です。しかし、撮影テクニックだけでは「クライアントの魅力を本当に伝える写真」は撮影できません。先ほど主役はクライアントの価値と述べましたが、単に人物や商品・サービスを美しく撮るだけでは足りません。企業の想いや理念、そしてターゲット顧客の感情に寄り添いながら撮影していくのです。まずは、クライアントとともにそのビジョンに浸りつつ、良い写真を残したいという強い気持ちで撮影に臨むことが大切です。
そうしたフォトグラファーの情熱や共感はクライアントに伝わるものです。それは端的にクライアントの満足度や評価に現れます。このとき初めてクライアントとの間に信頼関係が構築されます。安心感も芽生えます。これは表面的なコミュニケーションでは到底生まれません。わたしたちはどうしても撮影テクニックに重きを置きがちですが、フォトグラファーに求められるものは、こうしたクライアントとの“絆”なのです。
撮影にはさまざまな被写体が登場しますが、そのすべてはクライアントの価値に関わるものとして撮影を行っているわけです。例えば広告キャンペーンには10通りのテーマがあれば10通りの表現があります。同じように構成された広告でも、それぞれに毎回異なるインパクトがあります。ですから、撮る写真がどれも同じになるはずがありません。アルバムを作っても、それぞれに違う展開、流れがあります。クライアントとの信頼関係が強いほど、こうした臨場感ある感動のシーンは発見しやすくなります。ここにプロのフォトグラファーとして撮影を行う最大の魅力があるのです。